けんべぇだぁ

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iDeCoに潜む「二重課税」の罠

iDeCoの落とし穴を知っていますか?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金を積むと所得控除が受けられ、受取時にも税制優遇がある便利な制度です。

でも、前提条件から外れると、思わぬ課税リスクが発生します。
特に、無収入のときに積み立てて、しかも受取時の控除を使い切った場合などでは、実質的に二重課税になるのです。


無収入期に積み立てると起きる二重課税の流れ

iDeCoの拠出と受取を順に見てみましょう。

① 拠出時

  • 無収入のときに積み立てる場合、手元にあるお金(過去に課税されて残った財産)を使うことになります。
  • 収入があっても、他の控除を全部使い切れなければ、控除が効かない部分は課税対象です。
    👉 これが1回目の課税です。

② 受取時

  • 退職金控除や年金控除の範囲を超えると課税されます。
  • 例えば割増退職金をもらった場合、退職金控除を使い切ってしまうことがあります。
  • 年金として受け取る場合も、厚生年金に加入していると既存の公的年金で年金控除が使われて、iDeCoの受取に控除がほとんど残らないことがあります。
    👉 結果、受取金の大部分が課税され、2回目の課税が発生します。

※ 逃げられない

  • iDeCoの掛金は最低5,000円。減らすことはできません。
  • 上記の状況になっても、積立は必ず行われるため、二重課税のリスクは避けられません


二重課税の対象になりやすい人の具体例

  • 退職後に企業型DCをiDeCoに移した人
    • 退職金で退職所得控除を使い切った場合、iDeCo受取時に控除がほとんど残らず課税される。また、公的年金が年金控除額を上回ることが多い。
      そのため、退職後の収入に見合った掛金にしないと二重課税になる。
  • 専業主婦/専業主夫で収入がない人
    • 将来のためにiDeCoに積み立てても、拠出時に控除が効かなければ税制メリットがなく、受取時に課税される。
      基本は課税済みの手元資金を使うので、受取時に全額控除できないと二重課税になる。

こうしたケースでは、制度上は優遇されていても、現実的には損をする可能性があるのです。得をするには、税額以上の運用益を出す必要があります。


改善提言:控除なし掛金は受取時非課税に

二重課税を避けるためには、控除が使えなかった掛金は受取時に非課税にすべきです。

手元資金も含め、拠出時に控除が使えなかった掛金は、1度課税されています。
したがって、受取時に課税されるべきではないのです。

そもそも、一般的な投資においては、

 ・元本(投資したお金)には課税されず
 ・利益に対してのみ課税される

というのが基本的な考え方です。

しかし現状のiDeCoは、条件次第で掛金に実質的に課税されます。
課税の公平性の観点からも違和感があり、制度設計の見直しが必要と言えます。


まとめ

  • iDeCoは全員に得とは限らない
  • 無収入期や控除を使い切った人は、制度の盲点に注意
  • 最低掛金5,000円は逃げられないため、リスクを理解して積立することが大切
  • 将来的には、控除できない掛金を受取時非課税にする改善が望ましい

💬皆様の意見をお聞かせください

この記事では、iDeCoは控除が使えないと実質的に二重課税になるという懸念 を示しました。

同じような考えをお持ちの方、または専門的な視点をお持ちの方は、ぜひコメントで意見をお寄せください。

頂いた意見は、今後のブログ更新や改善提言に反映させたいと思います。

眼科で気を付けたい超大切なこと【第3回】黄斑前膜の手術基準「視力0.8」の落とし穴 〜危険な症状「複視」〜

今回は、黄斑前膜と診断された方に気を付けて欲しいことを書きます。

黄斑前膜は網膜の前に膜が張る病気です。
治療方法としては、膜を除去する手術しかありません。
そして、矯正視力が0.8になったら手術適用です、と言われることが多いようです。

でもこの基準が曲者です。
もしあなたがこのように言われていて、でも見え方に大きな違和感があるなら、早急に他の医療機関も検討してほしいと思います。


黄斑前膜の症状

黄斑前膜の症状をネットで調べると、だいたい以下の3つが挙がっています。

 ①視力低下

 ②像の歪み

 ③不等像視(悪い方の像が大きくなる)

②と③は膜が縮んで網膜にシワがよることで発生します。
物理的にも理解しやすい症状です。

では①はどうやって起こるのでしょうか。
網膜の前に膜が張るので多少の視力低下はあるでしょう。
でもそれ以上に視力を下げる要因はそれほどないのです
私の経験では、視力検査の「C」(ランドルト環)は、歪んでグニャグニャになるけど、空いている方向はハッキリとわかりました。
②の歪みが視力に影響することはほとんどないと感じました。
もちろん③の症状も視力には影響しません。

ということは、矯正視力0.8というのは最も起こりにくい条件といえるのです。


気を付けたい危険な症状

③が進行すると、さらに別の症状が発生します。
網膜にシワが寄って縮むと、左右の目で見る像の大きさに差が生じます。

人間の目は左右の目で、少し異なる像を重ねて見ています。
差が小さいうちは、脳が補正することでごまかしてくれます。
ところが差が大きくなりすぎると、像を重ねることができなくなります。

そうすると、

 ④複視(左右の目で像が2重に見える)

という症状が現れるのです。

複視は上下方向に発生します。
左右方向は、もともと注視している点以外は二重に見えます。
これは正常です。むしろこれを利用して立体感を得ています。
でも上下方向が二重になるのは、脳にとっては想定外です。
大きな違和感を引き起こし、立体感が失われます。

これは、私が実際に経験した危険な状態です。
最終的に複視の症状が悪化し、歩くのも怖くなっていました。
しかも網膜のシワは戻らないので、術後改善はしましたが戻っていません。
なのに、少なくとも私が受診した眼科では、いずれも黄斑前膜と複視は無関係と説明されたのです。
(この後白内障の手術でお世話になった病院の先生は、「それは理屈的に起こり得ますね」と言っておられたので、ゼロではないです。)

なので、もし複視が発生しているなら、本当に注意してください。
視力だけでなく見え方を含めて相談できる病院を検討してほしいです


複視のメカニズム

不等像視が複視を引き起こすことは、実は眼科では常識です。
世の中には片目の視力だけが悪い人がいます。
そういう人が片目だけ度が入ったメガネをかけると、不等像視になります。
メガネをかけると少し世界が小さくなりますよね。
これが片目だけに起こるのです。
そして、この差が5%を超えると、複視が発生しやすくなります。

シングルディスクハプロスコープを用いた不同視における不等像の検討 

不等像のために眼精疲労,複視,立体感の低下などの症状をきたしている症例にしばしば出会う。

新しい不等像視検査

不等像視が1%以上存在すると眼精疲労や両眼視の異常などの種々の問題をきたし,5~10%を超えると両眼視を行うことが不可能になる

ということは、

 ・黄斑前膜→不等像視
 ・不等像視→複視

この2つはそれぞれ常識なのに、

 ・黄斑前膜→不等像視→複視

という説明に私が出会うことはありませんでした。

でもそういう報告自体はあります。

黄斑前膜(ERM)のイメージングと視機能・QOL 評価

ERM によって引き起こされる不等像視は主に大視症である。患眼での映像は健眼と比較して数%拡大されて見え、ときには複視の原因になる。

一般の眼科で、複視に言及し、手術適用の条件に挙げているところも勿論あります。

また、「不等像視メガネ」で検索すると、黄斑前膜に起因するケースや矯正メガネについての情報も得られます。


まとめ

以上の通り、黄斑前膜と診断されている人は、複視の症状が出ていないか、継続的に確認してください。

片目だと1つに見えるのに、両目だと上下に二重に見えたら危険信号です。

早めに相談できる病院を見つけて欲しいです。

今は複視の症状が出ていない人も、念のため探しておくと安心です。

最後に、なぜこんなことになっているのかを考えてみました。
あくまで推測ですが、判断基準が医療に進歩に追い付いていないかもしれません。
網膜の直前に張っている膜を取り除くというのは、普通に考えると大手術です。
今は医療技術が進んで比較的安全な手術になっていますが、以前は大きなリスクを伴う治療方法だったのではないでしょうか。
もしそうだとすると、視力が大きく低下するぐらいのことでないと手術に踏み切れなかったのではないでしょうか。
そう考えると、そんな大手術が比較的受けやすくなったのは医療の進化のおかげです。し、感謝しかありません。私自身、黄斑前膜の術後は心底医療に感謝しました。

だからこそ、治療中の患者さんには早く恩恵を受けてほしいのです。
せっかくの機会を逃さないよう、アンテナを張ってもらえたらと思っています。

眼科で気を付けたい超大切なこと【第2回】白内障の手術前にできる見え方のシミュレーション方法

第1回でも書いた通り、白内障のレンズ選定は非常に重要です。
単焦点レンズであればなおさらです。
手術後にどのように見えるか、知りたいと考えるのが普通です。

条件付きですが、事前に見え方を確認することは可能です。
少なくとも想像することはできます。

ただし、これはあくまで見え方の予測であり、手術の精度や個人差の影響を受けることは忘れないでください。


術後体験の条件

術後を疑似体験するには2つ条件があります。

①眼のピント調節機能がなくなっている
 つまり老眼が進行している人です。
 50歳以上であれば、だいたい調整機能はなくなっています。
 近眼の人も、近くが見えますが老眼は進行しています。

②濁りが少ない

 濁りが少ないうちに手術する人は、術後を体験できます。
 白内障が進行すると、視界が濁って体験は難しくなります。

単焦点レンズ=ピント調節ができない濁りのないレンズ です。
なので、2つの条件を満たす人は、術後を体験できます。


術後体験の方法

■遠くが良く見える人

・遠く合わせのレンズ体験
 今のままです。

・中間合わせのレンズ体験
 弱めの老眼鏡をかけることで体験できます。
 近くも遠くも見にくいですが、中間距離は良く見えます。

・近く合わせのレンズ体験
 老眼鏡をかけることで体験できます。
 近くは見えるけど遠くは見えなくなります。

■やや近眼の人

・遠く合わせのレンズ体験
 遠くが見えるメガネをかけると体験できます。
 代わりに近くが見えにくくなります。

・中間合わせのレンズ体験
 今のままです。

・近く合わせのレンズ体験
 老眼鏡をかけることで体験できます。
 近くも遠くも見にくいですが、中間距離は良く見えます。

■ド近眼の人

・遠く合わせのレンズ体験
 遠くが見えるメガネをかけると体験できます。
 代わりに近くが見えにくくなります。

・中間合わせのレンズ体験
 弱めのメガネをかけることで体験できます。
 近くも遠くも見にくいですが、中間距離は良く見えます。

・近く合わせのレンズ体験
 今のままです。

眼科には視力矯正用のメガネセットがあるので、体験できる環境はあります。
実際に試させてくれるのかは分かりませんが、お願いすれば断る理由はない気がします。もちろん、術後の見え方を保証するものではないとは言われるでしょう。

それでも体験する価値はあるので、もし対応が難しい場合は、他の医療機関も含めて検討してみるのも一つの方法だと思います。


濁りが進行している場合

少し濁りが進行していても、同様にメガネで体験してみることをお勧めします。
違いは分かるはずです。
術後はそれより悪くなることはない、と考えておけばOKです。


術後を想像する方法

メガネで差が出ないぐらい進行している人は想像するしかありません。

前回も使ったこのグラフでイメージしてください。

遠く合わせ(無限遠合わせ)
  1.8m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  無限遠で1.0になります。

中間合わせ(5m合わせ)
  1.3m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  5mで1.0になり、無限遠でも0.9です。

中間合わせ(2m合わせ)
  1m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  2mで1.0になり、無限遠でも0.7が維持されます。

近く合わせ(40㎝合わせ)
  30㎝~50㎝の間だけ、視力が0.7以上です。


アイハンスという選択肢

前回も紹介しましたが、保険適用の「アイハンス」というレンズがあります。
このレンズは、近距離側の視力が若干良くなる設計となっています。

計算上は、無限遠合わせでも1m以上で視力0.7になります。
上記の通り体験した上で、少し近くが見やすくなると思って間違いありません。
ただし、単焦点がベースなので、過度な期待はしないでください。


次回予告:黄斑前膜は“視力”だけでは判断できない

次はいよいよ黄斑前膜について書きます。
体験談として一度書いていますが、大切なポイントをピックアップしてまとめたいと思っています。

眼科で気を付けたい超大切なこと【第1回】単焦点レンズ選びの落とし穴 〜「近く」or「遠く」で後悔しないために〜

私は白内障の診断を受けました。
手術はまだしておらず、レンズの検討段階で、単焦点レンズだけでなく多焦点レンズも視野に入れています。

そして単焦点レンズについてWeb検索すると、ほとんどのサイトで「遠くを見えるようにするか」「近くを見えるようにするか」の二択での説明がなされています。

でもレンズ設計はもっと多様で、その間の「中間」という選択肢もあります。
でもそこに言及している比率はあまり高くないようです。

実際、私の母は二択のうち「近く」を選択して、術後かなり後悔しています。
こんな失敗を自分はしたくないし、少しでも多くの人に後悔して欲しくないので、どういう選択ができるのかを説明したいと思います。


「遠く」「近く」に合わせるとは?

まず、レンズを「遠くに合わせる」「近くに合わせる」というのは、本当はどういうことかを説明します。

遠くに合わせると

 無限に遠くに焦点が合うレンズが選択されます。

  • 10m以上の遠くの景色
     ハッキリ見えます。

  • 2m離れたテレビ
     見えます。

  • 1m先の料理の手元など
     メガネが必要になる可能性が高いです。

  • 40㎝先のスマホやパソコン
     メガネなしでは見えません。

 要は、メッチャ視力が良いまま強度の老眼になるイメージです。

近くに合わせると

 30~40cmぐらい先に焦点が合うレンズが選択されます。

  • 10m以上の遠くの景色
     メガネなしでは見えません。

  • 2m離れたテレビ
     メガネなしでは見えません。

  • 1m先の料理の手元など
     メガネが必要になる可能性が高いです。

  • 40㎝先のスマホやパソコン
     ハッキリ見えます。

 今度は、普通に近眼が進行した状態です。

さて、みなさんはどちらを選びますか?
車を運転するから「遠く」でしょうか。
スマホをよく見るから「近く」でしょうか。

ここで冷静に、実際の生活で、一番欲しい距離を考えてみてください。
結局のところ、家ではテレビや料理の距離が重要ではないでしょうか。

そう考えると、近く合わせだと不便と感じることが多くなりそうです。
また、遠くに合わせても、そこそこ不便だと思います。

ではどうすればよいのでしょうか。

簡単です。間を取ればよいのです。


「中間」に合わせるとは?

中間に合わせたレンズだと、どう見えるのでしょうか。

中間に合わせると

 だいたい2~5mぐらいに焦点が合うレンズを選びます。

  • 10m以上の遠くの景色
     見えます。

  • 2m離れたテレビ
     ハッキリ見えます。

  • 1m先の料理の手元など
     見えますが、メガネが必要になる可能性もあります。

  • 40㎝先のスマホやパソコン
     メガネなしでは見えません。

これを見ると、中途半端に見えるかもしれません。
でもこれが、普通に眼が良い人の実際の状態なのです。

無限遠がハッキリ見える視力を維持している人は稀です。
年を取れば、多くの人の視力は0.7~0.9です。

この視力なら、車の運転はメガネが不要です。
日常生活で不便を感じることはほとんどありません。
ただ、老眼でスマホの距離は見えにくくなっているでしょう。

そう考えると、ほとんどの人は「中間」が合う可能性があります。


理論上の見える範囲

言葉で感覚的なことを並べても分からないと思うので、理論上の見える範囲をグラフ化してみました。
それぞれのレンズ設計で、どの距離がどの程度の視力で見えるのかを表しています。

実用的に裸眼で見える視力は0.7といわれているので、0.7以上の視力で見える距離を示します。

無限遠合わせ(遠く合わせ)
  1.8m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  無限遠で1.0になります。

5m合わせ(中間合わせ)
  1.3m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  5mで1.0になり、無限遠でも0.9です。

2m合わせ(中間合わせ)
  1m以上の距離は、視力が0.7以上です。
  2mで1.0になり、無限遠でも0.7が維持されます。

40㎝合わせ(近く合わせ)
  30㎝~50㎝の間だけ、視力が0.7以上です。

この通り、だいたい上記の内容と合致しています。


「遠く」か「近く」の二択なのは何故?

QOL(生活の質)を考えると、メッチャ遠くがクッキリ見えることよりも、近くがハッキリ見えることよりも、中間距離が見えやすいことが重要ではないでしょうか。

なのに「遠く」か「近く」の二択が多いのは何故なのでしょうか。

私は以下のような理由で、結果を保証しにくいからだと想像しています。

  • 中間は選択肢に幅がある

  • 手術の誤差がある

  • 術後の見え方に個人差がある

特に1mの見え方は、2m合わせでもギリギリで、結果が読めません。
そうなると、「遠く」か「近く」にしておいて、見えない距離はメガネで補うという考え方は、ある意味合理的なのです。

患者側も同じで、ではどこに合わせますか、と聞かれても悩みます。
選んだとしてもドンピシャで合うわけではなく、術後の変化も多少はあります。
だから同じく割り切るというのが楽ではあります。


アイハンスという選択肢

保険適用の「アイハンス」というレンズがあります。
このレンズは、近距離側の視力が若干良くなる設計となっています。

計算上は、無限遠合わせでも1m以上で視力0.7になります。
スマホやパソコンはさすがに厳しいですし、理論値ほどの効果がないという話もありますが、少しは改善しそうです。

興味がある方は扱っている眼科を探して受診してもよいかと思います。


次回予告:事前に見え方をイメージする方法

この話を読んで、「中間距離に合わせるのが良さそうなのはわかった。でも、実際にどのくらい見えるのかイメージがわかない。」と思った方が多いはずです。

そこで次回は、「手術前にできる見え方のシミュレーション方法」について考えます。

ぜひご覧ください!

眼科で気を付けたい超大切なこと 〜患者であり光学技術者である私の気づき〜

私は医師ではありません。
ですが、大学院で物理学を専攻し、その後も長く光学や立体視、視覚情報処理の研究開発に関わり、博士号も取得しました。

このように視覚に関する仕事をする一方で、眼の病気にかかることが多く、長らく眼科にお世話になってきました。

病院では、当然ながら眼科医の説明を聞きます。先生方はもちろん知識も経験も豊富だと思います。

ところが、本当に知りたい情報が十分に聞けていないと感じることがよくありました。聞き方の難しさもあるのですが、意思決定が必要な場面で消化不良に感じることもありました

私は生理学的に眼を語ることはできませんが、光学的に眼の機能を理解することができます。なので、先生の説明が分かりにくいと、すぐに病院を変えたくなります。(ゴメンナサイ)
でもその結果、私は多くの眼科に通ったので、経験の母数はそこそこあります。

そこで今回、専門的に視覚を扱ってきた立場から、「患者として」経験し、「光学的な常識」と照らし合わせながら気づいたことを、シリーズでまとめたいと思います。

このシリーズの目的は、

 眼科で気を付けたい超大切なこと

を共有することです。


■ 私の眼に何が起こったのか

私は10代のころからド近眼でしたが、40代でレーシック手術を受け、裸眼での生活を快適に送っていました。

ところが50代になって、右眼に黄斑前膜(黄斑上膜)を発症し、視界に歪みや複視(二重に見える症状)が現れました。

この黄斑前膜の手術に至る経緯は以前シリーズで投稿しましたが、複数の眼科で「(矯正)視力が出ているので様子を見ましょう」と言われました。
ところが私の見え方は明らかに異常でした。光学的に明らかにマズイ状態だと分かりました。でも、なかなか十分に理解できる説明に出会えませんでした。

「このままではとんでもないことになる」と思い、手術をしてくれる病院を自力で探し出しました。そして受けた手術には満足し、とても感謝しています。

その後半年が過ぎたころから、今度は白内障が発症しました。本来黄斑前膜は白内障同時手術が推奨なのですが、その病院ではレンズを選べなかったので後回しにしたのです。ということで、今度は身近で手術を受けた人の話やネット情報を集めたのですが、またまたモヤモヤする結果となったのです。


■ なぜこのシリーズを書こうと思ったのか

私がこの数年間で実感したのは、眼の手術はその後生活の質に大きく影響するので予備知識が重要という現実です。

たとえば:

  • 黄斑前膜と複視は無関係と説明されることが多いですが
     ▶ 光学的に因果関係はあると考えられます

  • 黄斑前膜の手術適用の判断は視力低下といわれることが多いですが
     ▶ 数値には出にくい「見え方」が非常に重要だと思います

  • 白内障単焦点レンズの選択は「遠く」「近く」の二択が多いようですが
     ▶ 多くの人は「中間」が良いはずです

こうしたことは、患者にとって極めて重要な判断材料になるはずです。
にもかかわらず、十分な情報がないのが現実です。

世の中には同じような気持ちで、不安を感じている方がたくさんいると思います。

そのような方々に向けて、私自身の経験や実際に計算した結果などを紹介しようと考えたのです。素人考えだけではいけないので、文献情報もあれば載せます。


■ これから書く予定のテーマ

私の病気は黄斑前膜が先ですが、一般的に関心が高そうな白内障に関する内容を先に書き、そのあと黄斑前膜に関して書こうと思います。

第1回:

単焦点レンズ選びの落とし穴 〜「近く」or「遠く」で後悔しないために〜
白内障手術のレンズ選びで、「遠く」or「近く」だけではなく、「中間」という選択肢について記載します。

第2回:

白内障の手術前にできる見え方のシミュレーション方法
単焦点レンズでの見え方は、事前に疑似体験をすることができます。レンズ選びの失敗を減らすためにも是非読んでください。

第3回:

黄斑前膜の手術基準「視力0.8」の落とし穴 〜危険な症状「複視」〜
視力以上に、ゆがみや複視を考慮してほしいという内容です。特に私自身の経験をもとに、複視との関係について記載します。


■ 最後に

これは私個人の体験と考察に基づいた内容です。
もちろん医学的な知見や文献も可能な限り参照していますが、私は医師ではなく、患者として・技術者として書いているということをあらかじめご理解ください。

ただ、だからこそ「患者が本当に知っておくとよいこと」が書けると考えています。

次回は、まず一番多くの方が関心を持つ「単焦点レンズの選択肢」について掘り下げてみたいと思います。
誰もが白内障の手術で後悔したくないですよね。そんなあなたの今後の判断に、少しでも役立てば幸いです。